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「unbiased」のbiasedな使い方
世の中には「unbiased = 正しい」という考えが蔓延していますが,これは完全に間違いです.unbiasedというのは,手法の単なる統計的性質の一つにすぎません.また,unbiased, biasedと勘違いしがちな概念としてconsistent, inconsistentという性質があります.で,これらの概念はそれぞれ独立に成り立つのでは,という考え方はどうもあまり見られないようなので,ここでちょっと書いておきます.
さいころの目の平均値を計算する場合,それぞれの例は以下のようになります.
- biasedかつinconsistent:出た目の和/振った数 + 0.00001
- biasedかつconsistent:出た目の和/(振った数 + 0.00001)
- unbiasedかつinconsistent:最初に出た目
- unbiasedかつconsistent:出た目の和/振った数
一般に,「unbiasedかつinconsistent」はありえないとレンダリング界隈では思われているようですが,上記の例はそれを満たすようです.レンダリングで言えば,パストレーシングにおいて,一回目の呼び出しだけランダムにサンプリングした値を返して,後は同じ値を返すような場合がそれに該当します.この手法ではサンプル数をいくら増やしても正しい値には収束しませんが(inconsistent),一回目の呼び出しで返る値が完全にランダムならば,統計的な期待値は正しい値になります(unbiased).知ってか知らずかこれと同じ意味でunbiasedを主張しているレンダリング手法は結構あるようです.unbiasedだから正しい値に収束するという主張をしている場合は,注意して受け止めたほうがいいかもしれません.
最初の話に戻ると,物理的に正しいレンダリングで重要なのは「有限のサンプル数」でいかに「小さい誤差」に達するかという点なので,consistentである限りunbiasedかどうかは関係ありません.さらにぶっちゃけて言えば,サンプル数を無限にすることはできないので,consistentかどうかも実用上は関係ありません.
あと,結果が物理的に正しいかどうかとunbiased, consistentかどうかは無関係です.例えば,「反射回数を制限しているからbiasedだ!」という主張は間違いの可能性があります.反射回数を制限した問題をunbiasedに解いているかもしれないからです.これに関連して,ラスタライザとレイトレの比較にunbiasedとbiasedを使うのはアホです.さらに言えば,「biasedな方法の結果はぼけている」というのも間違いです.誤差がどう現れるかとunbiased, biasedかどうかは独立な話です.上記のbiasedな「出た目の和/(振った数 + 0.00001)」の誤差は限りなくunbiased「出た目の和/振った数」に近い形で現れます.
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